目次
- 1 アンティーク家具用語集
- 1.0.1 アカンサス
- 1.0.2 アプライドモールディング
- 1.0.3 アラベスク/アラベスク模様
- 1.0.4 アーリージョージアン
- 1.0.5 アーコール社(ERCOL社)
- 1.0.6 アーツ&クラフツ運動/様式
- 1.0.7 アールデコ
- 1.0.8 アールヌーボー
- 1.0.9 アンビール様式
- 1.0.10 アンブロークン・ペディメント
- 1.0.11 アンリ2世様式
- 1.0.12 インヴァーテッドカップ
- 1.0.13 インレイ(象嵌)
- 1.0.14 ヴィクトリアン様式
- 1.0.15 ヴィジェ=ルブラン
- 1.0.16 ウィリアム・モリス
- 1.0.17 ウィリアム・コリンズ
- 1.0.18 ウィングバックチェア
- 1.0.19 ウェリントンチェスト
- 1.0.20 ウォッシングスタンド
- 1.0.21 ウォールナット
- 1.0.22 ウインザーチェア
- 1.0.23 ウォルナット・スクロール
- 1.0.24 アームレスト
- 1.0.25 アーサー・ジョン・エルスリー
- 1.0.26 アカンサススクロール
- 1.0.27 アンティークプリント
- 1.0.28 ウィングチェア
- 1.0.29 エドワーディアン
- 1.0.30 エリザベス様式
- 1.0.31 エジプト様式
- 1.0.32 エーコン
- 1.0.33 エルム
- 1.0.34 エプロン
- 1.0.35 エンボス加工
- 1.0.36 エクステンションテーブル
- 1.0.37 エスカッチョン
- 1.0.38 エックスストレッチャー
- 1.0.39 エンジェルバック
- 1.0.40 オーク
- 1.0.41 オープンブックケース
- 1.0.42 オクタゴナル
- 1.0.43 オニキス
- 1.0.44 オジーシェイプ
- 1.0.45 オジーアーチ
- 1.0.46 オケージョナルテーブル
- 1.0.47 オジーブラケットフット
- 1.0.48 オフィスチェア
アンティーク家具用語集
- ア行
アカンサス
アカンサスは地中海沿岸が原産の多年草、日本ではハアザミと呼ばれる花の一種。イングリッシュガーデンではおなじみの大型の宿根草です。
「芸術」「技巧」「巧みさ」「離れない結び目」の花言葉を持つギリシャの国花でもあります。
特に葉が美しいことで知られ、家具や建築の装飾に使われるのは、花の部分ではなくこの葉の部分。
その始まりは、紀元前5世紀、古代ギリシャ時代のコリント式オーダーで用いられたこととされています。
古代都市「コリントス」。
亡くなった少女の死を悲しみ、バスケットに供物を入れてお墓にお供えをしました。
そして、バスケットにアカンサスの若葉が絡みついた光景を見た建築家カリマコスが、その美しさに魅了され、オーダーモチーフに用いたことによりこのコリント様式が誕生したとも言われています。
数多くのアンティーク家具を華やかに飾る代表的な装飾の一つです。
アプライドモールディング
1660年以降のレイト ジャコビアン期に始まった装飾の一つ。
ジャコビアン様式の家具扉や抽斗前板、椅子背板等にあしらわれた貼付面材(モールディング)の呼称です。
薄板を用いて幾何学模様を表現し、新たなデザインを生み出しました。
これには製材技術の進歩によって以前よりも薄板が製材出来る様になった背景があります。
従来の厚材からデザインを彫刻する労力と材料の無駄が省かれ、家具そのものの軽量化にも繋がりました。
アラベスク/アラベスク模様
アラベスクは、”アラビア風”を意味するイタリア語から派生したフランス語。
アラベスクという言葉自体は、ヨーロッパ人から見たイスラームのアラビア風植物文様を指す言葉です。
イスラーム美術では、カリグラフィー、幾何学模様に並ぶイスラーム美術の3大装飾の1つで、渦状や一定の形で反復する植物の茎や蔓と葉や花などを組み合わせた模様のことを指し、幾何学や一定のルールに基づき描かれます。
19世紀初頭、ナポレオンのエジプト遠征によるエジプトブームと相まって、アラベスク模様は、ヨーロッパにも影響を与えました。
ルネッサンス期の美術工芸品、特にタペストリー、陶器、金属細工、書物の装飾には、その要素が多く見られます。
それに伴い、ルネッサンス以降は次第にアラベスクという言葉が、動物や人物を蔓模様に組み合わせたグロテスク様式の装飾を表すようになっていきました。
今日、日本の伝統工芸である寄木細工にもその影響を見ることが出来ます。
アーリージョージアン
ジョージ1世~3世統治時代(1714年から1820年)に流行った建築や家具、室内装飾、工芸品等の様式『ジョージアン様式』の中でもジョージ1世~2世時代の様式を『アーリー・ジョージアン(初期ジョージアン)様式』と呼ばれます。
芸術面・文化面において顕著な発展が見られたこの時代。
イギリスの著名な家具デザイナーであるトーマスチッペンデールや建築家ウィリアム・ケントが活躍しました。
中でもトーマスチッペンデールは家具様式『チッペンデール様式』の創案者として知られ、多くの傑作を現在に残します。
また、家具材においてはウォールナットからマホガニーへの移行が始まりました。
アーコール社(ERCOL社)
1920年、イタリア出身の家具デザイナー “ルシアン・アーコラーニ”によって設立されて以来、今尚現存するイギリスの家具老舗メーカー。
ナチュラルな趣のエルム材を主として用い、伝統的ウィンザーチェアーを基としたモダンな作風が特徴的です。
乾燥が難しく歪みが生じるため、当時は家具材として不適格とされていたエルム材を用いたことは画期的と言えるでしょう。
近年では英国の服飾デザイナー”マーガレット・ハウエル”により、アーコール社製スタッキングチャイルドチェアーがロンドンで展示されたことでも知られています。
アーツ&クラフツ運動/様式
19世紀、産業革命がもたらした大量生産によって多くの粗悪品も市場に出まりました。そんな中、古き良き時代の職人による質の高い工芸品に回帰しようという芸術運動アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts Crafts)が起きます。
中でもイギリス家具においては、哲学、芸術の発展からの強い影響が見られます。
ジョン・ラスキンやウィリアム・モリスがこの時代に活躍しました。
直線的なフォルム、そして、中世やイスラム、日本のデザインを彷彿とさせる様式化されたモチーフがアーツ・アンド・クラフツ様式の特徴と言えます。
またイギリス以外でも、ケルト復興期の要素をアーツ・アンド・クラフツに取り入れた「グラスゴー・スタイル(Glasgow style)」がスコットランドで生まれるなどしました。
アールデコ
アールデコとは、フランス語で「装飾美術」を意味し、アールヌーボーに代わり、1910年代半ばから1930年代にかけて流行しました。
アールデコは、シンプルで合理的、そして幾何学図形をモチーフにした直線的、記号的なデザインが特徴の装飾美術です。
1925年に開催されたパリ万国博覧会(正式名:現代装飾美術・産業美術国際博覧会「Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels modernes」)にてアールヌーボーに次ぐ芸術様式として幅広いジャンルのアールデコ作品が紹介されました。
パリ万国博覧会が「アールデコ博」と略称されていたことにちなみ、このような美術様式が「アールデコ」と呼ばれることになりますが、この呼称自体は1960年代後半、美術史家ベビス・ヒラーによって名付けられたようです。
アールデコは特に1920年代のアメリカで流行し、エンパイア・ステート・ビル、クライスラー・ビル、ロックフェラーセンター等、アールデコ様式を代表する建築物も多く建てられました。中でもクライスラー・ビルは、アールデコ建築の最高傑作と言われています。
アールヌーボー
アールヌーボーとは、フランス語で「新しい芸術」を意味し、19世紀末から20世紀初めにかけて、ヨーロッパを中心に流行した装飾美術様式、芸術運動です。
1900年にはパリ万博が「アールヌーボー展」とも呼ばれるほど隆盛を極めたそうです。
アールヌーボーは、鉄やガラス等の新しい素材を用い、生活の様々な範囲、家具、工芸品、グラフィックデザイン、絵画、宝飾品等において芸術性を取り戻そうという動きでした。
19世紀後半のイギリスに起こったアーツ・アンド・クラフツ運動に影響を受け、フランスを中心にアールヌーボーとして発展し、ヨーロッパ各地へ広まっていきます。
アールヌーボーの特徴は、花、草、蔦、昆虫などの有機物モチーフを抽象化し、自然な曲線や曲面を用いることで装飾的に表現された華やかなデザイン性です。
また、当時流行していたジャポニズムの影響を強く受けたとも言われています。
アールヌーボーを代表する作品として、アントニ・ガウディのサグラダ・ファミリアやルネ・ラリックのジュエリーやガラス工芸品、アルフォンス・ミュシャの絵等が知られています。
アンビール様式
革命後の荒廃したフランスに、再び栄華が花開く時代。
1799年から1815年、ヨーロッパのほぼ全土を制圧した皇帝ナポレオン1世統治時代に流行った建築や家具、室内装飾、工芸品等の様式です。
アンピール(皇帝)様式は、英語表記ではEmpire styleエンパイア・スタイル、日本では帝政様式とも呼ばれます。
古代ギリシャやローマに触発された新古典主義 の流れを汲み、直線的で力強くシンメトリックなデザインは華麗かつ勇壮な趣を感じさせます。
ナポレオンが戦勝記念に建築を命じたフランス・パリの「エトワール凱旋門」もアンビール様式の代表的な建築物の一つです。
アンブロークン・ペディメント
日本では、破風(はふ)と呼ばれるペディメントの一種。
西洋建築においては切妻屋根の妻側屋根下部と水平材に囲まれた三角形の部分を指します。
古代ギリシャ建築で用いられた装飾要素ですが、次第に家具にも取り入れられるようになりました。
トーマス・チッペンデールの家具にも良く見受けることが出来ます。
ペディメントの形状は多種にわたり、セグメンタル・ペディメント、ブロークン・ペディメント、オープン・ペディメント、スクロールド・ペディメント、スワンネック・ペディメント等に区別することが出来ます。
中には、ペディメント(三角形部分)の頂点に意匠を取り入れ、意図的に三角形を崩したデザインもありますが、それらを除くモノを総じて アンブロークン・ペディメントと呼んでいます。
アンリ2世様式
1547年に王位についたアンリ2世(1519—59)の時代。
イタリアのメディチ家より輿入れしたカトリーヌによりもたらされた調和を重んじるイタリア・ルネサンスの影響を受け、16世紀後半のフランス宮廷を中心に流行した装飾美術です。
直線や平行線を用いた表現、繊細な模様や彫刻の組み合わせが特徴とされています。
端麗かつ優美なフランス独自の様式といえるでしょう。
アンリ2世様式を代表するアーティストにユーグ・サンバンや宮廷画家クルーエ父子(フランソワ・クルーエ/ジャン・クルーエ)が挙げられます。
インヴァーテッドカップ
カップの形状を逆さに用いた意匠=ターン・インバーテッドカップ。
17世紀半ば、社交や芸術を愛し博識かつ好奇心旺盛な国王・チャールズ2世の治世に誕生した意匠の一つです。
「陽気な王様」チャールズ2世がオランダに亡命した影響で様々なデザインを取り入れたことに由来すると云われています。
インレイ(象嵌)
インレイ(Inlay)とは、日本語で象嵌(ぞうがん)を意味します。
象嵌とは、「象」=かたど(る)、「嵌」=はめ(る)という言葉どおり、素材表面に異なる素材(色味の異なる木材や真鍮、貝等)を嵌め込んで模様を描く技法のことです。
この象嵌には、金工象嵌、木工象嵌、陶象嵌などの種類がありますが、アンティーク家具で使われているのは基本的に木工象嵌です。
現代では木工象嵌と寄木細工(Marquetry/マーケットリー)を明確に区別せず、総称して「象嵌」と呼ぶことがほとんどなのですが、象嵌は無垢材仕様の家具本体に模様を直接掘り込むのに対し、寄木細工は色味の異なる突板を組み合わせて模様を描くシートを作成し、家具本体に貼り付ける技法を指します。
象嵌が描く模様には色々な図柄があり、それぞれに「生命力」や「成功」等の意味が込められています。
ヴィクトリアン様式
英国を代表するデザイン様式の一つです。
ヴィクトリア女王が即位した1837年~1901年のデザイン様式をヴィクトリアン様式(ヴィクトリアンスタイル Victorian Style)と呼んでいます。
この時代の英国は大英帝国として植民地支配を拡大し、「世界の工場」や「太陽の沈まぬ国」と称えられるほど、かつてないほどの繫栄を見せ、1851年には世界で最初の国際博覧会である『ロンドン万国博覧会』も成功させます。
それと同時に、産業革命によって様々なものが発達しました。
英国家具も例外でなく、その栄華を世に示すかのように豪華絢爛、壮麗な家具が製作されました。
ヴィクトリアンスタイルは1880年頃を境に、前期(アーリーヴィクトリアン)と後期(レイトヴィクトリアン)で分けることができます。
それまでのものは直線的なデザインが主流でしたが、前期(アーリーヴィクトリアン)では、それとは対照的な曲線を多用する女性的なデザインが生まれました。
折衷様式とも云われるほど、ジャコビアンやゴシック、ロココ、クイーンアン等の様々な様式を取り入れ、細やかな装飾や植物・動物モチーフ、金属・ガラスなども使用し、新しくも豪華さが際立つデザインが特徴です。
ダベンポートデスクやシフォニア、チェスターフィールドソファ、バルーンバックチェア等が誕生したのもこの時期です。
後期(レイトヴィクトリアン)では大量生産が定着し、ややシンプルで使いやすいデザインが増えます。前期に比べると装飾性を抑え、洗練されたデザイン性が特徴です。
ミヒャエル・トーネットによる曲木の椅子、ベントウッドチェアの製作が始まったのもこの頃です。
ヴィジェ=ルブラン
エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン(Marie Élisabeth-Louise Vigée Le Brun, 1755年4月16日 – 1842年3月30日)は、660の肖像画と200の風景画を残し、18世紀の最も有名なフランス人女流画家と云われています。
画家ルイ・ヴィジェの娘としてパリに生まれ、ガブリエル・フランシス・ドワイエン、ジャン=バティスト・グルーズ、クロード=ジョセフ・ヴェルネ等、当時の巨匠たちから教えを受けました。
ルブランは多くの貴族の肖像画を描き、画家として成功しましたが、中でもヴェルサイユ宮殿に招かれ、マリー・アントワネットの肖像画を描いたことで知られています。
そして、1783年3月31日、女流画家アデライド・ラビーユ=ギアールと共にフランスの王立絵画彫刻家アカデミーの会員に、歴史画家として迎えられます。
その後、ローマのアカデミア・ディ・サン・ルカ(Accademia di San Luca)やサンクトペテルブルク美術アカデミーの会員、ジュネーヴのSociété pour l’Avancement des Beaux-Artsの名誉会員にも選ばれました。
ルブランの作品はロンドンのナショナルギャラリー等の美術館で現在も見ることが出来ます。
ウィリアム・モリス
ウィリアム・モリスWilliam Morris (1834 – 1896)は19世紀イギリスのテキスタイルデザイナーであり、また詩人、小説家、翻訳家、思想家としての顔を併せ持つ、近代デザイン史上に大きな影響を与えた人物。
【モダンデザインの父】とも呼ばれています。
ウィリアム・モリスがロンドン郊外に生まれたのは機械技術の発展が著しいイギリス産業革命期。
機械による大量生産がもたらした商業主義の台頭により、中世から培われてきた職人による手仕事の美しさやクラフトマンシップが失われていきました。
そんな中、モリスは「美しいと思わないものを家に置いてはならない」
と掲げ、生活と芸術の融合を目指し、手仕事の美しさをライフスタイルに取り入れることの重要性を唱えます。
その理想の下、彼が新婚生活を送るために建てた「レッドハウス」は、設計から家具、壁紙、カ-ペット、タペストリ-に至るまでモリスと友人達の手によるもので、“世界で最も美しい家”として知られています。
これを機にモリス・マーシャル・フォークナー商会を設立。
その後には、モリス商会の掲げる理想に共感する工房やアトリエが多く誕生します。
こうしてモリスを中心とした彼らの活動が、1888年に開かれた美術工芸協会の展覧会の名を取り「アーツ・アンド・クラフツ運動」と呼ばれるようになりました。
ウィリアム・コリンズ
ウィリアム・コリンズ(William Collins、1788年9月18日 – 1847年2月17日)は、風俗画、風景画を描き、19世紀前半に活躍したイギリスの画家です。
・1788年 ロンドンに生まれる。
・父親の友人、動物画家ジョージ・モーランドから絵画を学ぶ。
・1809年 アカデミーの展覧会で銀賞を受賞。
・1814年 アカデミーの準会員、1820年に正会員に選ばれる。
首相ロバート・ピールやロバート・ジェンキンソンらの貴族、国王ジョージ4世に人気を博したコリンズは、1828年にオランダ、ベルギー、1836年~1838年にはイタリアを旅し、その代表作となる風景画を描きました。
ウィングバックチェア
ウィングバックチェア(ウィングチェア)とは、その高い背もたれの上部両面に炉からの熱や風から頭部を守るための耳が取付られた安楽椅子の名称です。
この耳を翼に見立て「ウィングチェア」と呼ばれるようになったようです。
18世紀ロココ様式の時代に誕生し、当時の貴族の間で人気を博したウィングバックチェア。
身体を包み込むような曲線フォルムは美しく、脚部に至るまで同じく曲線美が魅力的な猫足(カブリオールレッグ)仕様の品が多く見受けられます。
ウェリントンチェスト
ウェリントンチェスト(Wellington Chest/別名:サイドロッキングチェスト side-locking chests)は、サイドに開閉するフレームを持ち、そのフレームを施錠すると全ての抽斗を引き出せないようにロックすることが出来ます。
1815年、ワーテルローの戦いでナポレオンを打ち破った英国軍人として知られるアーサー・ウェルズリ(初代ウェリントン公爵/別名:鉄の公爵 Iron Duke)が考案したことから、ウェリントンチェストと呼ばれるようになったと云われています。
ウォッシングスタンド
ウォッシュスタンド(ウォッシュハンドスタンド)とは、洗面台の原型となった家具です。
貴族や富裕層の寝室にワードローブやチェストと合わせて設置されていました。
水を入れたジャグや洗面ボール等を置いて使用する為、天板に天然大理石、立ち上がりの部分(スプラッシュバック/ウォッシュボード)に美しいタイルが貼られるなど、耐水面の工夫が施されているのが特徴です。
またその高い装飾性や贅沢な仕様から、当時から高級品とされていたようです。
ウォールナット
ウォルナット材はマホガニー、チークと共に世界三大銘木とされる木材の一つ。
クルミ科属の落葉広葉樹です。
ヨーロッパでは16世紀から17世紀にかけて「富の象徴」と言われ、寄木細工や精巧な彫刻などを施した高級家具に用いられた銘木ですが、現在も人気が高く、現代家具にも用いられています。
ゆっくりと何年もかけて成長する為、木目は細かく締まっていて、ゆがみや収縮が少ないという特徴を持ちます。
現代の一般的な家具で使われているウォルナット材は、主にアメリカやカナダなど北米が産地のブラックウォルナット材ですが、アンティーク家具に用いられているウォルナット材はヨーロッパ東部のカルパチア山脈周辺が原産の胡桃の木のことを指します。
西洋胡桃(Emglish walnut)、日本名で樫胡桃と呼ばれる木材です。
ブラックウォルナット材と違って、赤茶色の木肌を持ち、瘤(バー)部分をはじめ、木材の表情も豊かで目を楽しませてくれます。
ウインザーチェア
17世紀後半、ロンドンの郊外西方、チルターンズという森林資源が豊富な丘陵地帯に近かしいバッキンガムシャーの中心都市、ハイ・ウィカムで作られた土地固有の椅子(カントリーチェア)をテームズ川からロンドンに運んでいました。
そのテームズ川上流にウィンザー城があったことからウィンザーチェアと呼ばれるようになったそうです。
ウィンザーチェアの由来には諸説あるといわれていますが、こちらはその一つ。
当初はガーデンチェアとして王侯貴族に使われていましたが、19世紀初頭には図書館をはじめ、一般の住宅やオフィス、パブなどにも使われるようになります。
厚い座板に脚と細長い背棒、背板を直接接合した形状が特徴的で、初期は背もたれが櫛のようなコームバック型、18世紀後半からはオーストリアからイギリスに曲げ木の技術が伝わったことにより扇型のボウバック型も見られるようになりました。
その後には、ホイールバックチェアやゴールドスミスチェアなど様々な種類が生まれ、イギリスを代表する椅子の一つとなりました。
ウォルナット・スクロール
ウォルナット・スクロールは、17世紀半ばに登場した椅子脚部意匠の一つ。
Cスクロールをベースとし、キャサリン王妃への敬意を込めてデザインされたプラガンザ・トゥへ、更に手直しを施した意匠です。
銘木ウォルナットの美しい質感が活かされたデザインであることから、ウォルナット・スクロールと呼ばれたようです。
アームレスト
アームレスト(Armrest)は、椅子やソファなどの座席に取り付けられた腕を置く部分のことを指します。特にアンティーク家具において、アームレストは単なる機能的な役割を超えて、デザインの一部として重要な要素となります。アームレストは、座った際に腕を支えることで快適さを提供するだけでなく、椅子全体の形状や美しさを引き立てる役割も担っています。
アンティーク家具では、アームレストが特に装飾的に作られることが多いです。木製の椅子やソファの場合、アームレスト部分には彫刻や彫り込みが施されることがあり、これが家具のクラシックな印象を与えます。また、アームレストのデザインには、その時代のスタイルが反映されており、例えば、バロック様式では豪華な彫刻、ヴィクトリアン様式では曲線的でエレガントなデザインが特徴です。
材質や仕上げも様々で、木材、金属、革、布などが使われ、座面と調和したデザインで仕上げられます。例えば、椅子のアームレスト部分に布やレザーが張られている場合、座り心地や触感が向上し、さらに装飾的な要素としても機能します。アームレストは、見た目の美しさと実用性を兼ね備えた家具の重要なパートであり、アンティーク家具においては、特にその精巧な作りが価値を高める要素となっています。
アーサー・ジョン・エルスリー
アーサー・ジョン・エルスリー(Arthur John Elsley、1860-1952)は、ヴィクトリア朝からエドワード朝時代にかけて活躍した英国の画家で、特に子供や動物を描いた家庭的で温かみのある作品で知られています。アンティーク家具の用語としては、彼の作品に描かれる家具や室内装飾が、当時の英国の典型的なインテリアを反映している点で注目されます。彼の絵画には、ヴィクトリアン様式の重厚な木製家具や、美しく装飾されたチェア、テーブルなどがよく登場し、19世紀末から20世紀初頭の英国の家庭文化を理解する手がかりとなります。エルスリーの作品を通じて、当時の家具のデザインや使用状況を学ぶことができ、アンティーク家具を収集・研究する際の参考資料ともなります。
アカンサススクロール
アカンサススクロール(Acanthus Scroll)は、アンティーク家具や建築装飾に用いられるデザインモチーフの一つで、アカンサス(地中海原産の植物)の葉を巻物状(スクロール)に装飾したものを指します。古代ギリシャ・ローマ建築のコリント式柱頭に見られるのが起源で、ルネサンスやバロック、ロココ様式の家具にも頻繁に用いられました。 特に、18世紀のジョージアン様式やフランスのルイ様式、ヴィクトリアン家具に多く見られ、彫刻や金属装飾としてチェアの背もたれ、テーブルの脚、ミラーのフレームなどに施されます。豪華で優雅な雰囲気を醸し出すため、高級家具や宮廷装飾に好まれました。アンティーク家具の美しさを引き立てる重要なデザイン要素の一つです。
アンティークプリント
アンティークプリント(Antique Print)は、19世紀以前に制作された版画や印刷物を指し、アンティーク家具やインテリアの装飾要素として重要な役割を果たします。これには、銅版画、木版画、リトグラフなどの技法を用いたものが含まれ、植物図鑑、動物画、風景画、建築図面、歴史的な出来事を描いた作品など、多岐にわたります。
特に18〜19世紀のヨーロッパでは、アンティークプリントが額装され、応接間や書斎、ダイニングルームの壁を飾ることが一般的でした。アンティーク家具と組み合わせることで、当時の雰囲気を再現し、クラシックなインテリアを演出する要素となります。コレクターやインテリア愛好家の間でも人気があり、美術的・歴史的価値のある装飾品として高く評価されています。
ウィングチェア
ウィングチェア(Wing Chair)は、17世紀後半にイギリスで誕生した伝統的な安楽椅子の一種で、背もたれの両側に「ウィング(翼)」と呼ばれる張り出しがあるのが特徴です。このデザインは、暖炉の近くに置かれた際に、側面からの冷気を防ぎ、暖気を逃がさないために考案されました。
18世紀のジョージアン様式やクイーン・アン様式の家具に多く見られ、背もたれが高く、曲線的なデザインのものが典型的です。フレームにはマホガニーやオークが使われ、座面や背もたれは布地や革で張られています。19世紀以降、ヴィクトリア朝時代には装飾性が増し、現代でもクラシックなインテリアのアクセントとして人気があります。快適性とエレガンスを兼ね備えたアンティーク家具の代表的なアイテムの一つです。
エドワーディアン
エドワーディアン(Edwardian)は、イギリスのエドワード7世(在位1901〜1910年)の時代に流行した家具様式を指します。ヴィクトリア朝の重厚で装飾的なデザインから一転し、より軽やかで洗練されたスタイルが特徴です。
この時代の家具は、18世紀のジョージアン様式や新古典主義の影響を受け、シンプルで優雅なデザインが多く見られます。素材にはマホガニーやサテンウッドが好まれ、象嵌細工や細い脚部が特徴的です。また、籐(ラタン)を使用したチェアや装飾ガラスを取り入れたキャビネットなども流行しました。
エドワーディアン家具は、機能性と美しさを兼ね備えたエレガントなスタイルとして、現在でもアンティーク市場で人気があります。
エリザベス様式
エリザベス様式(Elizabethan Style)は、イギリスのエリザベス1世(在位1558〜1603年)の時代に発展した家具様式を指します。ルネサンスの影響を強く受け、重厚で荘厳なデザインが特徴です。 この時代の家具は、大型で頑丈な造りが多く、オーク材が主に使用されました。装飾には、幾何学模様の彫刻、ねじり柱(バルボスレッグ)、アカンサスの葉のモチーフ、ライオンやグリフィンなどの動物彫刻が施されることが一般的でした。また、長椅子(セットル)、大きなダイニングテーブル、ハイバックチェアなどが代表的な家具です。 エリザベス様式の家具は、王侯貴族の権威を象徴するものであり、現在でもアンティーク市場で高く評価されています。その豪華で重厚なデザインは、クラシックなインテリアに重厚感を加える要素となります。
エジプト様式
エジプト様式(Egyptian Style)は、古代エジプトの芸術や建築に着想を得た装飾様式で、アンティーク家具のデザインにも影響を与えました。特に19世紀初頭のナポレオンのエジプト遠征(1798–1801年)以降、ヨーロッパでエジプト趣味(エジプト・リバイバル)が流行し、家具や装飾品に取り入れられました。 エジプト様式の家具には、スフィンクス、オベリスク、ヒエログリフ、パピルスの葉、ロータスのモチーフなどが施され、黒檀や金箔を用いた豪華なデザインが特徴です。フランスのアンピール様式(帝政様式)や英国のリージェンシー様式の家具に取り入れられ、壮麗で異国情緒あふれるインテリアを演出しました。現在でも、エキゾチックでクラシックなスタイルとして人気があります。
エーコン
エーコン(Acorn)は、ドングリ(オークの実)をモチーフにした装飾デザインで、アンティーク家具や建築装飾に広く用いられています。特に、17世紀のジャコビアン様式(イギリス)やオーク家具に見られる特徴的な彫刻モチーフの一つです。 エーコンのデザインは、家具の脚、柱頭(キャピタル)、ノブ(取っ手)やフィンアル(装飾突起)として取り入れられ、豊穣や力強さの象徴とされました。また、北欧やドイツの伝統家具にも見られ、クラシックな雰囲気を強調する要素となっています。 特にオーク材と相性がよく、堅牢で重厚なアンティーク家具にエレガントな装飾を加える役割を果たしました。現在でも、クラシックスタイルの家具やインテリアデザインに取り入れられています。
エルム
エルム(Elm)は、主に北半球に分布する広葉樹の一種で、その木材は古くから家具製作に使用されてきました。特にアンティーク家具においては、強靭で耐久性に優れており、湿気や腐敗に強いため、長期間にわたって使用されてきた素材です。エルムの特徴的な点は、その美しい木目にあります。木肌は波状模様が入り、木目が豊かで個性的なデザインを作り出すため、装飾的な家具や重厚感のあるアンティークチェア、テーブル、キャビネットなどに多く使われます。
エルムは、比較的軽い木材でありながら、強度が高く、加工しやすいため、家具の細かな部分や曲線を作るのに適しています。また、木の表面が滑らかであるため、塗装や仕上げを施すと、美しい光沢が生まれ、時を経ることでさらに深みが増します。色は、淡い黄褐色から赤みを帯びた茶色までさまざまで、経年変化によって色味が深まるのも特徴です。
さらに、エルムはその耐久性と安定性から、戸外の使用にも向いており、昔の時代には家具だけでなく、建材や船舶にも使用されていました。現在では、アンティーク家具の中でも価値のある素材として重宝されており、特にエルムで作られた家具は、時間の経過とともに味わい深くなるため、コレクターにとっても魅力的なアイテムとなっています。
エプロン
エプロン(Apron)は、テーブルやチェア、キャビネットなどの家具において、天板や座面の下に設けられた水平な板の部分を指します。構造的な補強の役割を果たすとともに、デザインの装飾要素としても重要です。
アンティーク家具では、エプロンに彫刻や象嵌(マーケタリー)、透かし彫りが施されることが多く、特に18世紀のジョージアン様式やフランスのルイ様式では、優美な曲線や植物モチーフの装飾が特徴的です。また、クイーン・アン様式やカブリオールレッグを持つテーブルでは、エプロンが緩やかなカーブを描き、よりエレガントな印象を与えます。
家具のスタイルや時代によって形状や装飾が異なり、エプロンのデザインを観察することで、アンティーク家具の時代背景や特徴を知る手がかりとなります。
エンボス加工
エンボス加工(Embossing)は、木材、革、金属などの表面に凹凸の模様を施す装飾技法で、アンティーク家具やインテリア装飾に広く用いられています。特に17~19世紀のヨーロッパ家具では、豪華な装飾を施すために多用されました。
木製家具では、型押しや彫刻によってエンボス加工を施し、装飾的なパネルやフレームに立体感を持たせます。革張りのチェアやデスクトップでは、金箔を組み合わせたエンボス模様が高級感を演出しました。また、金属部分では、真鍮や銀に浮き彫りを施して装飾性を高める技法として使われています。
エンボス加工は、アンティーク家具に深みと装飾美を加える要素であり、時代ごとのデザインや職人技を見極めるポイントにもなります。
エクステンションテーブル
エクステンションテーブル(Extension Table)とは、天板を拡張できる機能を備えたテーブルのことです。伸長式テーブルとも呼ばれ、必要に応じてサイズを調整できるため、食卓や作業台として実用的に使われます。
エクステンションテーブルの構造にはさまざまな種類があり、代表的なものには「ドローリーフ式」「バタフライ式」「スライド式」「ゲートレッグ式」などがあります。たとえば、ドローリーフ式は、天板の下に収納された補助天板(リーフ)を引き出して広げるタイプで、アンティーク家具によく見られます。ゲートレッグ式は、折りたたみ式の脚を広げて補助天板を支える仕組みになっています。
19世紀のヨーロッパで普及し、特に英国やフランスのアンティーク家具では、繊細な彫刻や美しい木材が使われたエクステンションテーブルが多く見られます。
エスカッチョン
エスカッチョン(Escutcheon)は、アンティーク家具や鍵穴周りの装飾に使われる金属製または陶製のプレートを指します。主に鍵穴を保護し、美観を高めるために取り付けられます。エスカッチョンは17~19世紀のヨーロッパ家具に多く見られ、素材には真鍮、青銅、鉄、象牙、陶磁器などが用いられました。デザインは時代や国によって異なり、ロココ調の華やかな装飾からシンプルな幾何学模様まで多様です。フランスやイギリスのアンティーク家具では、精緻な彫刻や象嵌細工が施されたものが人気でした。現代でもエスカッチョンは、アンティーク家具の修復やインテリアのアクセントとして重要な役割を果たしています。
エックスストレッチャー
エックスストレッチャー(X-Stretcher)とは、アンティーク家具に見られる補強用の構造の一種で、脚部を補強するために交差する形で取り付けられた桟(ストレッチャー)のことを指します。X字型をしていることからこの名称が付きました。
特に17世紀から18世紀のヨーロッパ家具に多く見られ、フランスのルイ13世様式やイギリスのジャコビアン様式などで特徴的なデザインの一部として使用されました。機能的には、家具の脚の強度を高め、安定性を向上させる役割を果たします。デザインとしても装飾的な要素を兼ね備え、中央部分に彫刻や金属装飾が施されることもあります。
テーブルやチェア、キャビネットなどに用いられることが多く、アンティーク家具を見分ける際の重要な要素の一つとなっています。
エンジェルバック
エンジェルバック(Angel Back)とは、アンティーク家具の椅子に見られる特徴的な背もたれのデザインの一種です。背もたれの上部が羽を広げた天使のような形状をしていることから、この名称が付けられました。特に18世紀から19世紀にかけてのヨーロッパ、特にイギリスやフランスの家具に見られるデザインです。
エンジェルバックの椅子は、ロココ様式やジョージアン様式、リージェンシー様式の家具に多く見られ、繊細な曲線や彫刻が施されているのが特徴です。一般的には、木製のフレームに布張りや革張りの座面が組み合わされており、エレガントで装飾的な印象を与えます。アンティーク家具コレクターやインテリア愛好家の間で人気が高く、クラシックな雰囲気を演出するアイテムとして現在でも高く評価されています。
オーク
オークは、ブナ科コナラ属の広葉樹で、アンティーク家具において重要な木材の一つです。特にヨーロッパやアメリカで人気があり、イギリスのジョージアン様式やヴィクトリア様式の家具によく使用されました。
オーク材は硬く、耐久性が高いため、テーブル、キャビネット、チェアなどの実用家具に適しています。木目は美しく、虎斑(とらふ)と呼ばれる独特の模様が現れることがあります。色は淡黄褐色から濃い茶色まで幅広く、使い込むほどに深みが増します。
17~19世紀のイギリス家具にはソリッドオーク(無垢材)が多用されましたが、19世紀後半以降はオークの突板(ベニヤ)も一般的になりました。クラシックで重厚な雰囲気を持つため、現在もアンティーク市場で高く評価されています。
オープンブックケース
オープンブックケースとは、扉や引き出しがなく、開放型の収納スペースを持つ本棚のことです。主にイギリスやフランスのアンティーク家具として見られ、19世紀から20世紀初頭にかけて広く使用されました。シンプルなデザインのものから、ヴィクトリア様式やジョージアン様式の装飾を施したものまで、多彩なスタイルがあります。実用性が高く、書籍の出し入れが容易で、ディスプレイとしても優れています。特にマホガニーやオーク材が多く使われ、経年による美しい風合いが魅力です。
オクタゴナル
オクタゴナル(Octagonal)とは、アンティーク家具やインテリアにおいて「八角形」を意味する用語です。主にテーブルやミラー、脚部のデザインなどに用いられ、装飾的な要素として機能します。特に、ヴィクトリアン様式やアールデコ期の家具によく見られ、優雅で洗練された印象を与えます。八角形のデザインは、円形よりも直線的でありながら柔らかい印象を持ち、空間に個性的なアクセントを加えるのが特徴です。また、風水では縁起が良い形とされ、実用性と装飾性を兼ね備えたデザインとして重宝されています。
オニキス
オニキスは、古くから装飾や彫刻に用いられてきた鉱石で、家具の装飾にも使用される貴石の一種です。主にカルセドニー(玉髄)の一種で、層状に異なる色が重なった美しい模様が特徴です。色合いは黒、白、緑、赤などさまざまですが、特に黒地に白の縞模様が入った「ブラックオニキス」が有名です。
アンティーク家具では、テーブルトップやキャビネットの装飾パネル、インレイ(象嵌)として使用されることが多く、大理石やブロンズと組み合わせることで高級感を演出します。特に19世紀のフランスやイタリアの家具に見られることが多く、ネオクラシックやアールヌーボー様式の作品に取り入れられました。その美しい輝きと耐久性により、今でも高級アンティーク家具の重要な素材の一つとされています。
オジーシェイプ
オジーシェイプ(Ogee Shape)とは、建築や家具デザインにおいて使用されるS字型の曲線を特徴とする装飾的な輪郭のことを指します。オジー(Ogee)は、凸曲線と凹曲線が連続する形状で、ゴシック建築やバロック様式の装飾、クラシックな家具のディテールに多く見られます。 アンティーク家具では、テーブルの天板の縁やキャビネットのモールディング(装飾枠)、引き出しの面取りなどにオジーシェイプが用いられることがあり、優雅で洗練された印象を与えます。特に18~19世紀のヨーロッパ家具に多く採用され、ジョージアン様式やクイーン・アン様式の家具に典型的に見られます。モダンな家具デザインにも取り入れられることがあり、時代を超えて愛される装飾要素の一つです。
オジーアーチ
オジーアーチとは、ゴシック様式やロココ様式の家具や建築に見られる、特徴的なS字形の曲線を持つアーチのことを指します。このアーチは、内側に凹んだ曲線(凹曲線)と外側に膨らんだ曲線(凸曲線)が連続する形状をしており、エレガントで装飾的な印象を与えます。
アンティーク家具においては、キャビネットや本棚、ミラーの上部装飾に用いられることが多く、優雅で流れるようなデザインが特徴です。また、テーブルや椅子の脚部にも応用され、曲線の美しさを強調するデザインとして親しまれています。
オジーアーチの起源は中世のイスラム建築にさかのぼり、後にヨーロッパへ伝わりました。特に18世紀のイギリスやフランスの家具装飾において広く用いられ、クラシカルな雰囲気を持つデザイン要素として現在も人気があります。
オケージョナルテーブル
オケージョナルテーブル(Occasional Table)は、アンティーク家具の中でもよく見かけるアイテムで、特にリビングやダイニングルームに置かれることが多い小型のテーブルです。名前の「オケージョナル(Occasional)」は、「特定の機会に使う」という意味を持ち、日常的に使用されるテーブルではなく、必要に応じて使用されることを指します。このテーブルは、通常、コーヒーテーブル、サイドテーブル、コンソールテーブルなど、機能に応じてさまざまな形状やサイズで作られます。
デザイン的には、シンプルでありながら装飾的な要素が取り入れられており、家具全体のスタイルや時代によって異なる特徴があります。例えば、ヴィクトリアン様式のものは細かい彫刻が施されたものが多く、アールデコやミッドセンチュリーのものはよりモダンでシンプルな形態が見られます。
オジーブラケットフット
オジーブラケットフット(ogee bracket foot)」は、18世紀のヨーロッパ、特にイギリスやフランスのアンティーク家具に見られる足のデザインです。この足は、S字状に曲線を描いた「オジー」ラインを取り入れた、特有の装飾的な形が特徴です。 オジーブラケットフットは、直線的なフラットな足と異なり、曲線を活かした優雅なデザインが魅力です。一般的に、家具の下部に取り付けられ、足元に豪華さを与える役割を果たします。デザイン自体は、当時のバロックやロココ様式に関連しており、繊細で装飾的な要素が多く見られます。 この足の形状は、上部が水平に近く、下部に向かって丸みを帯びた曲線を描き、支えとなる部分が広がるような形です。アンティークのキャビネット、サイドボード、チェストなどに使われることが多く、特に上質な木材や細工が施された家具に見られます。 オジーブラケットフットは、家具の優雅さを際立たせるだけでなく、デザインとしても非常に重要な位置を占めており、時代を感じさせる独自の魅力を持っています。
オフィスチェア
オフィスチェアは、オフィスで使用するための椅子で、特に長時間の作業を快適に行えるようにデザインされています。アンティークオフィスチェアは、一般的に19世紀後半から20世紀初頭のデザインが特徴です。この時期のオフィスチェアは、重厚でエレガントな作りが多く、木材や革、金属などの高品質な素材が使用されています。特に、木製フレームに革張りの座面や背もたれが一般的で、クラシックな印象を与えるものが多いです。
アンティークオフィスチェアの特徴的なデザインには、アールデコやヴィクトリアンスタイル、そしてエドワーディアンスタイルなどがあります。アールデコでは直線的で装飾的なデザインが多く、ヴィクトリアンスタイルでは細かい彫刻や曲線美が目立ちます。また、エドワーディアンスタイルは、シンプルでありながら上品さを感じさせるデザインが特徴です。
これらの椅子は、単なる家具としてだけでなく、歴史的価値も持っており、コレクターズアイテムとしても人気があります。そのため、状態の良いアンティークオフィスチェアは高価で取引されることもあります。